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2015-09-24
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INTERVIEW『黒いハンカチーフ』矢崎広さん×松田凌さん

10月1日から新国立劇場中劇場で上演される矢崎広さんの主演作が、
舞台『黒いハンカチーフ』に決定!

「黒いハンカチーフを拾った。落とし主の連絡を乞う」

それはかつて、伝説の詐欺師フジケンが、大きなヤマを仕掛ける時だけ使っていた暗号広告だった。
高度経済成長期の日本を舞台に、世紀の詐欺事件が幕を開ける――。
男たちの騙し合い!前代未聞のコンゲーム!

本作は脚本・マキノノゾミさんが主宰を務めた劇団M.O.P.にて2001年に初演、翌年にはTV番組
『演技者。』でドラマ化された人気作。演出は河原雅彦さん。
キャストには初演で主人公・日根(ヒルネ先生)を演じられた三上市朗さん始め、錚々たる俳優陣が出演。

今回は注目の舞台・ミュージカルへの出演が続いている主演の矢崎広さん、そしてデビュー作で
矢崎さんと共演、以来若手実力派俳優として活躍の目覚ましい松田凌さんのお二人に意気込みを
伺いました。  (文:片桐ユウ 写真:笹井孝祐)

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――『黒いハンカチーフ』という作品はご存知でしたか?

矢崎 ドラマ化された『演技者。』を見ていました。まだ上京する前くらいの頃に。とても面白い
ドラマだなー!と思っていたんですけど、元々が舞台作品だったというのは知らなくて。今回
お話を頂いてから調べて、初めて知った感じです。

松田 僕も初めてでした。演劇好きな方ならご存知だったとは思うのですが、作品の歴史を
聞いて、また新たな深い世界に飛び込んでいけるんだなと思いました。

――現段階(※取材時)では、初演の脚本をお読みになられた状態と伺いましたが、ご感想は?

矢崎 自分が演じるというより、まずは『黒いハンカチーフ』を楽しもうと思って読んで……
「へ!? え!? ええーー!!?」という感じでした(笑)。印象としてはマンガっぽいというか。
昭和のカッコ良さと言ったらいいのか、ハリウッド映画っぽいところもあって。特にヒルネ先生の
設定、どうしようもないやつが本気出すと…みたいなところが、たまらなくカッコ良かったです。

松田 本当に、ハリウッド映画のような痛快感が…。

矢崎 あの、人が掘り進めていった材料でしゃべるのやめてもらっていいかな(笑)?

松田 そこも吸収していこうかなって(笑)。主人公が詐欺師という設定ならではの騙し合いが
面白かったです。騙すって本来はいけないことですけど、男心をくすぐられるようなダーク
ヒーロー感がありました。

――ご自身が演じられる役についてはいかがですか?

矢崎 僕が演じるヒルネ先生は、お父さんがとんでもない詐欺師。その息子である自分は
お医者さんなんですけど、飲み歩いて昼寝ばかりしているような人で。でもちょっと謎めいて
いるというか、そういう人が腰を持ち上げる瞬間と、そこからがカッコイイんです!
キュートなところとか、ダメなところもあって、そういうところが魅力的な、人間っぽくて
男っぽい役……だという印象を、僕は受けました。

松田 僕は新人刑事の鬼塚という役です。脚本を読んだ印象だと、素の僕に近いというか…
あれ? これは僕なんじゃないかなって。

矢崎 (笑)

松田 マキノノゾミさんの頭の中に、僕は既に存在していたんじゃないかと思うくらい…というと
言い過ぎなんですけど(笑)。少ない経験ながら今まで様々な役を演じさせて頂いてきたのですが、
刑事役は初めてになるんです。少しでも先輩刑事の銭田さんに着いて行って、物語のスパイスに
なれたらなと思います。

――共演者の中で共通の方というと…。

松田 吉田メタルさんですね。今朝連絡したんですよ。「おはようございます。広くんとご飯行きましょう!
ご都合はいかがですか?」と。そうしたら「まだ本番期間中」と返ってきたので、「なるほどなるほど」って
返信しました(笑)。

矢崎 今まで3人でご飯行ったりしたことは無いもんね。

松田 メタルさんから、広くんとはすごく仲良しってお話は聞いてます!

矢崎 舞台『ジャンヌ・ダルク』(2014)で共演してからすごく可愛がって頂いていて。とても良き先輩。
このメンバーの中に知っている先輩がいてくださるのは本当に心強いです。

松田 初めましての方も多いですけれど、「ナイロン100℃」さんとかも観ていたので、早くお会い
したいと思う方ばかりです。

――キャストの方々の中には、初演やドラマで『黒いハンカチーフ』にご出演されていた方々もいらっしゃい
ますね。

矢崎 そうなんですよ…そうなんですよ!

松田 (笑)

矢崎 プレッシャーにはプレッシャーですけど、あまり気負いし過ぎず、と思っています。勝手に
気負いはすると思うので。凌たち知っているキャストもいますし、皆さんの力をお借りして、いい意味で
ちょっと甘えて、楽しめたらなと思います。…だって、ガチで戦おうとしたら絶対ボコボコになる!
でもメタルさんからは「そんなのあかん! グイグイ行け!」って言われそうだけど(笑)。

松田 言われますねきっと(笑)。そうなった時には、僕はその辺の土にでも絨毯にもなるので!

矢崎 どどどどういうこと?(笑)

松田 コイツをイジればいいみたいな。「お前、パン買いに行ってこいよ」って言われたら買って
きますので! きっと僕、まずメタルさんにイジラれていくと思うんですよ。その美味しさをかみ締めて、
そういうポジションに収まっていきたいなと!……と、言いつつ実際はガチガチになっていると思うん
ですけど。

矢崎 緊張はするよね、絶対。

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――お二人はミュージカル『薄桜鬼』、舞台『ドリームジャンボ宝ぶね~けっしてお咎め下さいますな』(2012)
などでも共演されていますが、本日お会いするのは前回の対談(『Sparkle vol.23』8/1発売号)以来ですか?

矢崎 その取材の後日、僕が出演していた『女中たち』を観に来てくれました。

松田 楽屋で色々お話しましたね。

矢崎 その時にはもう上演する作品が変わるということを知っていたので、「凌は出なくなるから。ゴメンね」って
言ったら、「え、ええ~!!!」って(笑)。

松田 まさか楽屋でそんな重大な告白をされるとは…!って青ざめました(笑)。やっぱりヒルネ先生だなと。
詐欺師にまんまと騙されました!

――上手いこと(笑)。最初に発表のあった作品から今作品に変更になりましたが、その時はどういったリアクションを?

矢崎 意外と「そうかー」と、受け止めていましたね。「アワワ、どうしようどうしよう」みたいな感じでもなく。

松田 大阪から東京まで行くつもりだったけど、行き先が博多に変更になりました、みたいな(笑)。でも博多で
降りたらそれはそれで…。

矢崎 博多もいいじゃんってね。

松田 はい! 前向きでした。

――前回の対談では「不条理演劇」を演じることでメンタルにもかなりの影響が出たというお話をされていましたが
今作品ではどのような心境になりそうですか?

矢崎 …これもやられると思う(笑)。

松田 !!

矢崎 楽しくやるつもりだけど!

松田 ずっと見てますよ…。

矢崎 コワイ!

松田 広くんのことも勿論、広くんが演出家さんに言われたこととかも…(ささっとメモを取る仕草)。全てを
吸収したいです。脚本を読ませて頂いた時に、役者さんをイメージしながら読ませて頂いていたんですけど、
もう早く見たい! 早く広くんのヒルネ先生を見たいってなっています。

矢崎 …頑張ります!

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――演出の河原雅彦さんとは、矢崎さんは『時計じかけのオレンジ』(2011)でご一緒されていますね。

矢崎 小栗旬さんが主演で、4人組の仲間の一人の役でした。小栗さんと、ムロツヨシさん、高良健吾さん、
そして僕だったので、付いていくのに必死だった記憶しかないです。河原さんは本当に素敵な方で、誰よりも
作品のことを考えていて役者を愛していて、クレバーな印象なんですけど、僕が本当に出来なかったから。
叩かないと上がってこないから叩いてくれていたんだなと、今は思います。

――河原さんの中で、矢崎広という役者はどんな役者として残っていると思いますか?

矢崎 そのままで止まっていると思いますね。当時の本当に何も出来ない、ウソばっかりつく俳優という。
繕うばっかりの俳優だったから……かと言って、今もそうなんですけど。でも、そうしたらそうしたで、また
怒られながら自分なりに芝居を作っていけたらと思っています。

松田 広くんにもそういう時期があったんだなって、今すごく不思議…。

矢崎 河原さんに、舞台に対する考えをすごく変えてもらったの。『時計じかけのオレンジ』が終わった後に、
役者を辞めようと思ったりもしたし。俺って本当に嘘つきなんだなと思って…向いていないなって。今までの
芝居に対して自分は何をやってきたんだろうと思ったくらい、河原さんと出会って演じることの意味をすごく
考えさせて頂いた。

松田 へええー。

矢崎 一回、何もかも壊してもらったなと思う。その後、全崩壊するのが『MACBETH』(2012)という作品に
なるんだけど(笑)。ヒビを入れて下さったのは間違いなく河原さん。

松田 僕は…もしかしたら今回、『時計じかけのオレンジ』の頃の矢崎くんと環境が似ているかもしれないって
思いました。僕の考えなんて、きっと河原さんにとっては本当に浅はかなものだろうなと。でも逆にちゃんと
それを見せて、色々剥いでもらいたいと思います。…バナナ。バナナですね! ちゃんと剥いて頂いて、
でも腐っちゃったらまた入荷してくださいっていう。

矢崎 新しく入荷したら、人が変わっちゃうよ?

松田 あ、ダメですねそれは! 欠番にはなりたくない! 叩き直してもらいたいです。また一から!

――劇場についてもお伺いさせて下さい。今回、新国立劇場 中劇場という大きなホールでの上演となりますが。

矢崎 はい。僕はブロードウェイミュージカル『Into the Woods』(2006)で初めて立たせて頂いて、その印象が
すごくあります。本当に憧れていた作品でオーディションを受けて出させて頂いていたので、とても思い入れが
深い劇場ですね。ピッて(セキュリティのIDカードを)やって入らなきゃいけないし。

松田 でもピッは、電車に乗る時もやりますよ。

矢崎 まだね、ピッがそこまで世間一般的にピッじゃなかった時にピッだったの。

松田 え、広くんが何歳の時だったんですか?

矢崎 まだ十代だったと思う。

松田 うわー! それで新国立劇場…。僕が十代で立っていた一番大きい場所なんて体育館くらいですよ。

矢崎 (笑)。その後も何作か立たせて頂いているんですけど、やっぱり来る度に『Into the Woods』の思い出が
蘇りますね。僕的には憧れの劇場という感じ。あの劇場で主演をやらせて頂くって…変な話、主演さんが使っていた
楽屋に足を踏み入れるのかとか考えると、「まだ早くね?早くね?」って。そのくらい恐れ多いです。楽屋に関しては…
相談したいと思います。

松田 (笑)

――では最後に意気込みをお願いします!

矢崎 本当に素晴らしいキャストさん、スタッフさんが揃っているので、いい意味で甘えると言いましたけど、
なんでも受け止めてもらえると思える環境で、僕自身、今目指す新しい挑戦が出来る舞台だなと思っています。
そういった部分でも楽しみですし、頑張りたいと思います。

松田 デビュー当時からすごいなと思っていた矢崎広くんが主演で、素晴らしい共演者の方々に囲まれて、
いつか立ってみたいと思っていた新国立劇場の中劇場に立たせて頂く機会に恵まれて…こんなにも恵まれた
経験を、自分の想像出来る範囲で終わらせたくないと思っています。自分のことでいっぱいいっぱいになるとは
思うんですけど、しっかり周りから吸収していきたいと思いますし、少しでも作品の力になれるように尽力したいと
思います。

――ありがとうございました!

 

【Profile】
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矢崎 広 やざき・ひろし
1987年7月10日生まれ。山形県出身。
主な出演作:ミュージカル『薄桜鬼』、『ドラキュラ』、『タイタニック』、舞台『時計じかけのオレンジ』、
『MACBETH』、『ジャンヌ・ダルク』、『フランダースの負け犬』等。

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松田 凌 まつだ・りょう
1991年9月13日生まれ。兵庫県出身。
主な出演作:ミュージカル『薄桜鬼』、TVドラマ『仮面ライダー鎧武/ガイム』、舞台『遠ざかるネバーランド』、
『Being at home with Claude~クロードと一緒に』、舞台『K』等。

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【公演概要】

『黒いハンカチーフ』
日程:2015年10月1日(木)~10月4日(日)
場所:新国立劇場 中劇場

脚本:マキノノゾミ
演出:河原雅彦

<出演>
日根 矢崎広
佐登子 いしのようこ
宮下 浅利陽介
神谷 橋本淳
鬼塚 松田凌
村木/ボーイ 桑野晃輔
京子 村岡希美
富美子 宮菜穂子
曜子 まりゑ
夢子 武藤晃子
美都子 加藤未和
キヨシ/海老沢喜一郎 吉田メタル
海老沢修二 鳥肌実
小田桐 神農直隆
ホルン吹き 高木稟
銭田警部 三上市朗
松平 おかやまはじめ
牛島 伊藤正之

詳細は公式サイトにて
http://le-himawari.co.jp

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